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車の死角をなくす斬新なシステムを14歳少女が発明。母親の運転中のトラブルがヒントに
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  • 2019.11.12
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車の死角をなくす斬新なシステムを14歳少女が発明。母親の運転中のトラブルがヒントに

文:岩見旦

安全運転を心がけているドライバーでも、注意しなければならないのが死角の存在。特に特にフロントガラスと窓の間にある柱(ピラー)が作る死角は、ドライバーにとって悩みの種だ。この死角に自転車などが隠れていて、ヒヤッとしたことのある人も多いのではないだろうか。

そんなピラーによる死角の問題を、14歳の少女が斬新な方法で解決したと注目を集めている。

ウェブカメラで撮影した映像をピラー部分に投影

米国ペンシルベニア州ウェストグローブに暮らすアライナ・ガススラーさん(14歳)が母親の運転する車に乗っていた時のこと、母親が車の死角で見えない部分を確認しようと苦労していることに気付いた。その時、ガススラーさんはあるアイデアを思いついた。

ガススラーさんは、ピラー部分に隠れている背景を映すことで、死角をなくすシステムを発明した。そのシステムとは、まず助手席のピラーの後ろにウェブカメラを設置する。そして、そのウェブカメラで撮影した映像をリアルタイムで車内のプロジェクタに送信。その映像をプロジェクタからピラー部分に投影することで、死角になっている背景を見えるようにしたのだ。

また3Dプリンタで印刷した部品を備え付けより映像が鮮明になるようにし、さらにピラー部分に特殊な布で覆っているとのこと。大きなピラーのあるジープで、父親とテストをしたという。

「そこにピラーがなかったら防ぐことの出来た、多くの交通事故とケガと死があります」とガススラーさん。「ピラーは車から取り外すことができないので、私はそのままの状態で取り除くことにしました」とも。

科学技術コンテストで270万円を獲得

ガススラーさんはこのプロジェクトで、中学生を対象とした米国最大の科学技術コンテスト「Broadcom MASTERS」において、ファイナリストの30人に選出。そして先月、最優秀賞であるサミュエリ財団賞を受賞し、2万5000ドル(約275万円)を手にした。

「自分の名前が呼ばれるとは想像していませんでした」と受賞の感想を話すガススラーさん。主催団体であるSociety for Science & the PublicのCEO、マヤ・アジュメラ氏は「このプロジェクトは、車の死角をなくすことで交通事故を減らす可能性を秘めています」とガススラーさんを称賛し、「私たちの世界にある非常に多くの課題を抱えていますが、ガススラーさんとBroadcom MASTERSのファイナリストのみんながいるから安心しています」と付け加えた。

ガススラーさんの発明は画期的だが、その原理は非常にシンプルなものだ。もしかしたら、発明のヒントは身の回りにたくさん転がっているのかもしれない。


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