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「ブランド」は最強の詐欺ビジネスか。ファッションビジネスでカルチャーを作る|恩地祥博(BRH Inc)
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  • 2019.11.29
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「ブランド」は最強の詐欺ビジネスか。ファッションビジネスでカルチャーを作る|恩地祥博(BRH Inc)

20年かけて戦う仕事

BRHとはBrand’s Right Handの略。社名の由来は文字通り「ブランドの右腕」となってブランドをサポートしていく、ということ。

―― 恩地さんは他のメディアでも「ファッションをビジネスから支えたい」ということをおっしゃっていますよね。具体的にどういうことなんでしょうか?

恩地:デザイナーズブランドは少数精鋭のビジネスで、他者からの支援が得られないと結構しんどかったりもします。例えば一番大変なのが、売上が急激に伸びる時ですね。

―― というのは?

恩地:ものを作って売っているので、仮に1000万円分発注があったとしても、原価である400万円とかを先に工場に払わなければいけないんです。デザイナーズブランドはデザイナーが個人でやっている場合が多いので、そう簡単に資金を工面することができなかったりもして、生産・出荷が遅れてしまい一番良い売りの時期を逃してしまいます。そうなるとバイヤーさんも扱ってくれなくなり、売れなくなってしまう…という悪循環に陥ります。

―― 個人でやっている以上、なかなか解消しづらい課題ですね。

恩地:はい、でもその売上が伸びたタイミングで僕たちが資金を注入してあげることで、その壁はいったん取り除けます。そこに経営とかマーケティングとか、ファッションアイテムを作る以外の要素をプラスしていき、ブランドを伸ばしていく、ということを会社としてやっています。

―― ファストファッション、ラグジュアリーブランドが好調な一方「デザイナーズブランドが苦しい」なんて話を目にします。やはりデザイナーズブランドはあまり売れてないのでしょうか?

恩地:どうでしょう…。ただ、表向きにはショーとかをやって華やかに見えていても、裏ではスタッフのお給料を払うためにデザイナーが深夜にバイトをしてるなんて話もよく聞きます。ブランドのイメージが壊れてしまうので、表には絶対に出さないと思いますが。

―― 感覚的に芸術家やミュージシャンとかに近いですね。BRHで運営しているブランドについてはいかがですか?

恩地:今うちで運営しているブランド自体は6年目なんですが、今年の1年でようやく少し良くなってきたという印象です。ただ、このまま続けていても3年後に予測できる数字にテンションが上がらないというか。個人のブランドであれば1億くらいの売上があれば充分ですが、僕たちがビジネスとしてやる以上は最低でも10億以上の売上がないと意味がないと思っています。SacaiやTOGAといった今や日本を代表するデザイナーズブランドも20年ぐらいかけて50億、100億の規模の売上になっていったので、自分たちとしてもまだまだこれから戦っていけると思っています。

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