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毒蛇のうごめく川に入った人間に、そっと手を差し伸べるオラウータン。種の壁を超えた絆に感動
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  • 2020.02.17
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毒蛇のうごめく川に入った人間に、そっと手を差し伸べるオラウータン。種の壁を超えた絆に感動

文:chopsticks

オランウータンは人間に最も近いと言われている動物の一つだ。そのためか、どうやらオランウータンの中にも人間に対し親近感を持つものがいるようだ。

今、人間を救おうとした一匹の野生のオランウータンが世界中から注目を集めている。

「何かお探しですか?」差し出されたのは大きな手だった

ある日、インドネシアのボルネオ島でオランウータンの保護活動を行っている「ボルネオオランウータン生存財団(BOS)」の管理人は、川に毒蛇がいるとの一報を受けた。管理人はオランウータンを守るため、危険を承知で毒蛇がうごめく川の中に入り、駆除活動を行っていた。すると、1匹のオランウータンが管理人の元に近づき、その大きな手を差し伸べた。

友人とトレッキングをしていた写真家のアニル・プラバカールさんは偶然その瞬間を目撃。オランウータンの慈愛に満ちた行動に感動を覚え、何度もシャッターを切った。

プラバカールさんはそのときの様子について、「まるでオランウータンが『何かお探しですか?』と話しかけているようでした」と『CNN』の取材に答えている。しかし、その後、管理人はオランウータンの手をとることはなく、自力で水から這い上がったという。

プラバカールさんがその理由を管理人に尋ねたところ、「あのオランウータンは完全に野生の生き物であり、どのような行動をするか確信が持てませんでした」と答えたという。プラバカールさんによると、遭遇した時間はほんの3〜4分だったとのこと。「この瞬間に立ち会えたことをとても嬉しく思います」と振り返るプラバカールさん。

プラバカールさんは1月23日、この瞬間の写真を自身のInstagramに投稿したところ、たちどころに話題になり、8万件以上の「いいね」が集まった。

絶滅の危機に瀕しているボルネオオランウータン

オランウータンはアジアで唯一の大型類人猿であり、そのほとんどがインドネシアのボルネオとスマトラ島を中心に生息している。しかし、ハンターに狙われたり、生息地が破壊されたりしたため、ボルネオ島のオランウータンの個体数は、過去3世代で80%以上も減少した。

ボルネオオランウータン生存財団(BOS)は現在、400人のスタッフを抱えており、約650頭のオランウータンを保護している。もしかすると、管理人に手を差し伸べたオランウータンは、BOSがたくさんの仲間たちを助けてくれているということを知っていたのではないだろうか。

もしそうだとしたら、BOSがその活動を通じて、オランウータンとの間に築き上げた絆は、とても大きなものであったと言えるだろう。


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