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首都高149キロ大暴走の現役プロ野球選手、引き金となった同乗先輩の指示とは?裁判レポート完結編【連載】阿曽山大噴火のクレイジー裁判傍聴(19)
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  • 2020.11.20
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首都高149キロ大暴走の現役プロ野球選手、引き金となった同乗先輩の指示とは?裁判レポート完結編【連載】阿曽山大噴火のクレイジー裁判傍聴(19)

大事故に遭わなかった被告はむしろ幸運?

Photo By Shutterstock

そして、10日後の10月8日。この日も傍聴席は満席で傍聴人は8人でした。開廷前から行列ができるほどの注目度。

判決は、懲役3月執行猶予2年。判決理由としては、法定速度の2倍以上のスピードで走行したのは危険で悪質であると。そして、ゴルフの練習をしたいというのは、緊急性も必要性もなく、先輩からの指示とは言え、汲むべき事情とは言えず、罰金刑ではなく、懲役刑を選択したとのこと。でも事実も認めてるし、車も売却してるし、引っ越しを考えてるし、社会的制裁も受けているので、刑の執行を猶予するって内容でした。

判決理由の朗読を終えると、裁判官は証言台に立つO被告人の方に目線を移し、説諭を始めたのです。

裁判官「軽い気持ちだったのかもしれないけど、あなたの犯した行為については以上のようになります。これをどう受け止めていくかはあなた次第ですけど、今後はそれを活かして活躍することを祈っています」

と、ものすごい早口でエールを送っていました。言い終えた瞬間に法廷を出て行ったので、盗塁でも狙ってんのか?ってくらいのスピード。なんであんなに裁判官は急いでたんだろう?何かの練習でもしたかったのかな。

スポーツって、その人の素質や実力や努力ではどうにもならない“運”ってあると思うんです。ボールが思わぬ方に転がることもあるだろうし、風向きや天気が急変することもあるだろうし。野球に限って言えば、入団がドラフトというくじ運に左右されることもあるスポーツですよ。

そういう意味でO被告人もPさんもスポーツ選手向きですよね。だって、一歩間違えば大事故が起きていたスピードですよ。人身事故、死亡事故もありうる速度。選手生命どころの話じゃなかったかもしれないわけです。それが人身事故も物損事故も起きてないのは“運”がいい。

ルールを守ってる方が格好いいんだけど、一度失敗したって実力があれば、何度でも這い上がれる世界であって欲しいよなぁ、スポーツ界は。


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