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日本のデジタル社会の未来 IT・ソフトウェア業界の雄が語るDX、デジタル庁はどうなる?!〜CSAJ新年特別談話 (前編)
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  • 2021.02.09
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日本のデジタル社会の未来 IT・ソフトウェア業界の雄が語るDX、デジタル庁はどうなる?!〜CSAJ新年特別談話 (前編)

DX時代における業界団体の役割とは

荻原:将来的には、すべて内製化によりソフトウエアベンダーの入る余地が無くなってしまうかもしれないし、まだまだベンダーは生き残っていけるのかもしれない。社会のデジタル化が進み、水道のように蛇口をひねればいつでもサービスが提供される環境が整ってしまえば、業界として存在する意味が無くなってしまうようにも思えます。

ただ、それが実現するにはまだ時間がかかるし、それまでにやらなければいけないこともたくさんあると思います。また、デジタル化というのはこれまでのヒエラルキーを壊し、平等をもたらすと考えています。社長が偉い、副社長が偉いという権威づけも、デジタル化が進めば意味がなくなっていくでしょう。

このようなヒエラルキーが壊れた社会になってしまえば、業界団体の存在意義は無くなり、そこで偉くなっても意味がないと思われる状況に行き着くと私は考えています。

水谷:日本においては、業界団体は地域ごとに集まりやすいので、小さな団体が山のようにできてしまい、大きな発信力を発揮できないことが課題となっています。その点において、CSAJでは荻原会長を中心に多数の団体を束ねられたことは大変素晴らしく、今後もっとメリットが出せる形に進化させていく必要があると思います。

先程触れたTC295の国内の審議委員会や、電子インボイス推進協議会、社会保険システム連絡協議会の事務局がCSAJに置かれていることも大きな意味があります。我々が母体となり、新しいテクノロジーを積極的に取り入れ、時代の変化に対応していくことができると思います。

また、CSAJが今後はシンクタンクの役割も担っていくという方針にも注目していただきたいです。内部だけでなく、外からも新しい技術や変化する時代に対応力を持った人材を招いていくのは、とてもいいことです。日本的な業界団体でも、より活性化させていければ、日本の強みを出していけると思っております。

田中:コロナ禍におけるGo toキャンペーンなどの政策立案時に、CSAJがしっかりと意見を表明できたように、短期的なCSAJの役割としては、国民生活において重要なデジタル技術やインターネット、ソフトウェア、そしてクラウドのある社会について、いかに国の発展に重要であるかを伝えていくことだと思います。

また中長期的には2つあります。1つは次の世代の経営者をいかに交流させていくのかということ。若手の経営者が活躍する中で、その人たちが10年後、20年後に業界の中心を担っていくために、まずはつなぐことが業界団体としての役割だろうと考えています。CSAJの活動としては、プロジェクトみらい(仮)というのがこれにあたります。

もう1つは、デジタルを基盤とする社会というものが、今後10年のうちにはIT企業だけのものではなくなっていくという変化への対応ですね。私はそれこそがDXであろうと考えています。ITシステムを各社が自前で作れるような時代がやってくると、一般企業にとってCSAJに加入する大きな動機付けとなります。デジタル技術を手がける中で出てくる難しい課題等を解決するために、一般企業の方々が交流する場を提供していくことも、今後10年後、20年後にCSAJに求められていく役割であり義務ではないかと思っています。

次ページ:デジタル庁への提言・課題について

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