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スタッフとのんびり会話ができるレジが好評。オランダのスーパーが「回転率の悪いレジ」を導入した理由
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  • 2021.10.12
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スタッフとのんびり会話ができるレジが好評。オランダのスーパーが「回転率の悪いレジ」を導入した理由

文:窪田みちる

スーパーで買い物をする際、できるだけレジ前の行列に並びたくないもの。最近ではレジ打ちを客自身が行う「セルフレジ」を導入する店舗も増え、レジ回転率の上昇が図られている。

そんな中、オランダの大手スーパー「ジャンボ」が、利用客とスタッフがのんびり会話をしながら会計ができるレジ「Kletskassa」を設置し、大きな話題になっている。スピードが重視されるレジで、なぜこのような取り組みを始めたのだろうか?

高齢者の孤独感を解消するレジ

ジャンボがこのような回転率の悪いレジを導入した理由は、高齢者の孤独感を解消するためだ。75歳以上の高齢者が130万人もいるオランダでは、その多くが孤独を感じており、社会問題になっている。

この課題に対し、オランダ政府は孤独防止キャンペーンを展開し、企業や団体を巻き込んで解決策を模索している。これを受けて同社では、店舗が「多くの人々にとって重要な出会いの場」であると考え「孤独を軽減する役割を果たしたい」と、会話できるレジ「Kletskassa」の設置を決断した。

2019年夏、同社はオランダ・ブラバント州のフレイメンに初めて「Kletskassa」を設置した。その結果、利用客から多くの好意的な反応が得られ、さらに拡大することに。プレスリリースによると、同社は1年以内にオランダ全国の200店舗に「Kletskassa」を設置する予定だという。

同社CCOのクルースタマン=ファン・エルド氏は、「ちょっとした行動ですが、非常に価値のあるものです。特にデジタル化が進み、ますますスピード感が増しているこの世界で、このようなサービスが必要なのです」と述べている。

次ページ:コーヒーを飲みながら近所の人と交流できるコーナーも

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