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- BUSINESS
- 2021.10.29
Z世代は「意識高い」のではなく「問題解決できない大人に絶望してる」だけ?若者世代の本音と企業に期待したいこと
嘘のない、本気の姿勢を示す企業に共感集まる
―― 最後に「企業はZ世代に対してどう向き合うべきか」というお話をうかがいたいと思います。御社のアンケート調査で「グローバルブランドは国より変化をもたらす力を持っている」という質問に対してはイエスの回答が52%のロシアを除いてどの国も大半がそうだと答えており、日本も75%に上っています。
上坂:「みんな違うのは当たり前」だからこそジェンダー問題を筆頭に社会課題の関心がないわけではない、でも国や政治には期待できないし、自分が立ち上がるのも病んでしまいそうで怖いし大変、だから企業に期待をかけている、ということなんだと思います。
―― そうした意味においては、企業にチャンスがあるとも言えますね。
上坂:はい。ただ注意が必要なのは、キーワード「完璧さより真実を好む」にもある通り、企業側が本気でそう思っておらず、あるいは具体的なアクションを伴わず「そういうのが今はウケるんでしょう」という態度で臨むと失敗してしまうということです。
―― 「完璧さより真実を好む」は、Z世代が思春期から数々の炎上事例を目撃していることから、背伸びするのではなくリアルな等身大の姿を見たがっていて、それがライブ配信などの「嘘がない姿」の人気につながっているというお話でした。
上坂:ネットやSNSを使って情報を得ようと思えば、世界中の、いつの時代の情報にも触れられるようになっているわけですから、グローバル的な考え方に触れていく子はもっと増えていくと思うんです。
―― 昨今の事例で、「これは成功した」と言える企業の取り組みはどんなものがあるのでしょうか?
上坂:「完璧さよりも真実を好む」「違うことは当たり前」の事例をいくつかお伝えします。
【完璧さよりも真実を好む】
「ドコモのロング学割」Webムービー「高校1000 日間の片想い」
300人以上の高校3年生にアンケートを取り、「女子」篇と「男子」篇の2つのリアルなストーリーとして構築し反響を呼びました。
その他にも「動画よりライブ配信が人気」「恋愛リアリティーショーの流行」「完璧なインスタ画像よりもストーリーズの方が人気」「テレビ番組よりもリアルをむき出しにするYouTuberの人気」も同じ傾向が見られます。
【違うことは当たり前】
True Name™ by Mastercard
トランスジェンダー、ノンバイナリーの方など、「自身の見た目とは異なる名前のクレジットカードを出すと店員に不審がられる」という問題に対して、あなたの本当の名前=True Nameでカードを作れます、というマスターカードのキャンペーンです。2021年のカンヌライオンズでも受賞をしました。
貝印「#剃るに自由を」
\#剃るに自由を /
— 貝印【公式】 (@kai_corporation) August 17, 2020
貝印では、剃毛·脱毛についての意識調査を実施。
ファッションや髪型のように、剃ることも自分自身で自由に選択したいと思う人が90%以上の結果に。
そこで、“剃る·剃らない“どちらの選択にも寄り添ったメッセージを、バーチャルヒューマンMEMEを起用し公開いたしました。() pic.twitter.com/CARY67NGXY
CGを用いたバーチャルヒューマンの人物を起用し、剃刀メーカーとして「体毛処理をどのようにするかは個人が決めていい」というメッセージを打ち出しました。
6人組アイドルグループ「すとぷり」
若い女子に大人気なネットの歌い手や配信者が集まったグループですが、メンバーの一人が性同一性障害(FTM:Female to Male)であることを公表しています。それでもファンたちは彼の歌や踊り、生き様を男性アイドルとして応援している。私の姪っ子も大好きなのですが、その姿を見ていて自分も感動してしまいました。
こちらが自分からの報告です。
— 莉犬くん@すとぷり (@rinu_nico) September 2, 2017
長くなってしまいましたが最後まで読んでいただけると嬉しいです。 pic.twitter.com/hgb0r51lKU
―― いずれの事例も、「当社の商品・サービスを使えばあなたも幸せになれます」ではなく「ユーザーが抱える社会課題の解決に全力で取り組みます」というスタンスで、これが「嘘のない、本気の姿勢」であるということですね。
上坂:そうですね。今回お話しした通り、「Z世代だからみんなリベラルでエシカルなんでしょう」という理解は危ういですが、社会課題に興味関心を持つ子が増えているのも事実です。だからこそ大人や企業が選択肢を提示していかなくてはいけないですし、「若者たちが変えてくれる」ではダメで「ボールはもう大人側にある」ということを認識すべきだと思います。