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海上に浮かぶ牧場、オフィス、マンション!?海面上昇対策から生まれた「浮かぶオランダ」の世界【連載】オランダ発スロージャーナリズム(38)
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  • 2021.11.03
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海上に浮かぶ牧場、オフィス、マンション!?海面上昇対策から生まれた「浮かぶオランダ」の世界【連載】オランダ発スロージャーナリズム(38)

家があるならマンションもあり?

公式サイトよりキャプチャ

もし、水の上に住むことになった場合、「戸建てではなくマンションがいい」なんて人もいるかもしれません。はい、もちろん用意しております。こちらのマンションも同じく、アムステルダムの北で開発中。これまた、エネルギーニュートラルを実現している、サステイナブルな集合住宅です。

2022年に完成予定のこちら、「Sluishuis」と言いまして、4万6000㎡の水上集合住宅。442戸と、30以上のボートハウススペースがあるようです。デンマークの有名建築事務所が手がけているこの住宅も、やはり「住宅が飽和状態にあるアムステルダムの近くに住むなら、水の上に住宅を建ててしまえば良い」という発想。元々、オランダにはボートハウスもありますし、水の上に住むことに心理的な抵抗も少ないと思います。また、こうした集合住宅になると、おそらくもはや水の上に建っているということすら忘れてしまうほどではないかと思われます。

こちらは来年の完成予定ということで、非常に楽しみではあります。

住宅の次はオフィスも

そして、住む場所が水の上であれば、働く場所も水の上、というのはどうでしょう。最後にご紹介するのは水の上のオフィス「FOR(Floating Office Rotterdam) 」。こちらは今年、ロッテルダムに完成したばかりです。オープン時のセレモニーには、なんとオランダのアレキサンダー王がお祝いに駆けつけました。オランダの「水上シフト」はいよいよ本気のようです。

公式サイトよりキャプチャ

このオフィスも木材を多く使用するなどサステイナブルな素材を使って建設されており、はじめから解体もしやすくデザインされています。入居しているのは本物件をデザインした建築事務所、オランダでサステイナブルシフトを牽引している銀行やレストランなどです。他には、元国連事務総長だったバン・キムン氏が代表を務める「Global Center on Adaptation」という世界的なNGOも入居しており、オフィスを通じて気候変動に対しての危機を表現するとともに、サステイナブルなオフィスとして、エネルギーニュートラルなどを実現しています。ちなみに、COP26といった環境にまつわる世界会議は、Global Center on Adaptaionが各国のリーダーに声がけをして開催に至っています。

このように今回は水に浮く建物を見てきましたが、このままでは近い将来、本当にこれらの需要が高まる世界になってきてしまいます。

海を干拓して土地を造ってきたオランダ人たちの逞しさが、我々も必要になってくる時代なのかもしれません。


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