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クッキーとバナナ、空腹時はどちらを食べるべき?野菜炒めは健康的?食べ物の思い込みを科学目線で解きほぐしてみた【連載】格闘家・松田干城が伝授!サイエンス・ヘルスケアの極意(2)
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  • 2022.03.10
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クッキーとバナナ、空腹時はどちらを食べるべき?野菜炒めは健康的?食べ物の思い込みを科学目線で解きほぐしてみた【連載】格闘家・松田干城が伝授!サイエンス・ヘルスケアの極意(2)

文・構成:友清晢

松田干城 Tateki Matsuda

現役プロ総合格闘家
株式会社スポーツゲインUSA・Boston支社長

現役プロ格闘家の傍、パーソナルトレーナー、ヘルスコンサルタント、ビジネスコーディネーターとしてボストンを拠点に活動中。ヘルス&ウェルネス分野(BtoB・BtoC)の事業、物販、日本と海外のコンテンツ輸出入を展開中。

Biohacker Center(フィンランド)とパートナーシップ契約締結後、バイオハッカーセンタージャパンを設立。代表として健康やウェルビーイングを手に入れるためのバイオハッキング(QOLを高めるために行う行為全般)を日本へ普及させるため目下活動中。

元UFCファイター/応用栄養学修士課程修了 Northeastern University/スポーツ科学学士号 Salem State University /Functional Movement Systems公認トレーナー/StrongFirst公認SFG1ケトルベルインストラクター/バイオハッカーセンターJapan代表(本部フィンランド公式パートナー)/レッドボックスジャパン(女性の働きやすい環境支援、生理の貧困を無くす活動)アンバサダー

加工食品が健康に好ましくない本当の理由

昨日の晩メシ、何を食べた? ――そんな話題があがった時、日本人は大抵カレーライスや牛丼、野菜炒めなどと、献立名で答えるのが一般的です。しかし、健康志向の高い欧米の人々はこの質問に対して、材料主体で答えます。たとえば「鶏肉をグリルして食べたよ」とか、「きのこと野菜を味噌で煮込んだものを食べたよ」といった具合です。

健康やダイエットを第一に考えた場合、食事に対してこうした視点を持つことは、実は非常に重要です。

では、「昨夜は遅くなったので、帰りにコンビニで適当に済ませてしまったよ」といった場合はいかがでしょう。コンビニ弁当なりカップラーメンなり、よく見慣れた商品で晩御飯を済ませたとして、それを食材単位に分解して認識する人はまずいないのではないでしょうか。

そこで気になるのが、日頃からつい頼ってしまいやすい加工食品は、体にどのような影響を与えるのか、ということです。

加工食品は手っ取り早くお腹を満たせる便利な手段ですから、大上段に構えて「一切口にするべきではない」などと言うつもりはありません。しかし、科学的な視点で加工食品を理解すると、自然と手が伸びなくなるのも事実だと思います。

これについては興味深い論文が存在します。アメリカの大都市圏の3地域から、合計450名の成人を対象に、日常で摂取する食事からその栄養成分を調査したところ、トータルの塩分摂取量のうち、実に7割が家の外で摂取されていることが明らかになったというものです。家の外とはつまり、外食やテイクアウトや加工食品を指しています。

もちろん、人が生命活動を維持するうえで、塩分は必要不可欠なものです。それにも関わらず、塩分の過剰摂取がとやかく言われるのはなぜか。

塩分の主成分は塩化ナトリウムです。そして、私たちの体を構成する細胞の中で、ナトリウムは常にカリウムと拮抗し、シーソーのようにバランスを取りながら共存しています。ところが、ナトリウムを過剰摂取するとそのバランスが崩れ、結果として高血圧など様々な生活習慣病の原因になります。これが問題なのです。

つまり、先ほどの論文に立ち返ってみれば、こうした疾患を予防するには、コンビニや外食を抑えるのが最もシンプルで有効な作戦と言えます。それだけでナトリウムの摂取量は抑えられ、カリウムとのバランスを守ることができるのですから。

とはいえ、個人的には加工食品を全否定するつもりはありません。各メーカーの企業努力により、昨今では手軽で美味しい商品が山ほど存在しています。しかしそれは、食品を買っているのではなく、便利さ(コンビニエンス)を買っているに過ぎないということを踏まえておくべきでしょう。

次ページ:クッキーとバナナはどっちが健康?真にバランスの良い食事は人それぞれ異なる

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