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今や無線LANで1Gbpsは普通?自宅のWi-Fiルーターのベストな置き方をWi-Fiのプロに聞いてみた。日本の「パソコン業界」を支えてきた企業バッファローに潜入【後編】
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  • 2022.05.26
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今や無線LANで1Gbpsは普通?自宅のWi-Fiルーターのベストな置き方をWi-Fiのプロに聞いてみた。日本の「パソコン業界」を支えてきた企業バッファローに潜入【後編】

Wi-Fi安定のために気をつけたい3つの要素

―― 通信速度の上昇は普通に暮らしていても感じるところですが、こと自宅のWi-Fiの「安定性」ともなるとなんだかその時々といった感じ。だましだまし運用するしかないと半ばあきらめている人も多いのではないでしょうか。

「Wi-Fi Connected Home」を支えるメインルーター「WSR-5400AX6S」。

そうですね。そもそもWi-Fiは非常に不安定なものでして、当社としましても「安定させること」が永遠のテーマです。でもしっかりと要因を切り分けていけばある程度は改善していけるものなので解説していきます。

Wi-Fiが不安定になる主な要因は「距離」「妨害物」「電波干渉」の3つです。

まず距離ですが、Wi-Fiは2.4GHz、5GHzの2つの帯域がありますよね。弊社のルーターであればSSIDの真ん中に「G」と入っているものが2.4GHz、「A」と入っているものが5GHzです。基本的に5GHzのほうが周波数が高いので一度に多くのデータを送ることができると認識してもえれば大丈夫ですが、帯域ごとにそれぞれ特徴があるんです。

―― ただ2つあるわけじゃないんですね。

当然ルーターから離れるほど通信状況が悪くなっていきますが、2.4GHzは遠い距離でも「速度が落ちにくい」という特徴があります。一方で5GHzは近距離では速度が速く通信許容量が大きいですが、距離による速度低下が顕著です。ですので、まずは距離に応じて帯域を使い分けるというのは一つポイントです。

次は妨害物ですね。そもそも建物はさまざまな建材が使用されており、素材によって電波を通しやすいものから通しにくいもの、中には100%反射してしまうものまであります。素材によって電波の強度が変わってしまうことを「透過損失」といいますが、透過損失をできるだけ減らすために、こういった妨害物をうまく避けていく必要があります。

木材やガラス、コンクリートは比較的電波に対する透過損失が少ないのですが、透過損失が多い素材の代表格と言えるものが「」と「」です。

―― 鉄はなんとなくイメージどおりですが、水もですか?

実は非常に電波を妨害しやすいものなんです。例えば部屋の中に人がたくさんいたりするとそれだけで通信速度がかなり変わったりもするんですよ。

―― たしかに「人の体は6割が水分」って言いますもんね。

さらにギリギリの状態で繋がっているようなWi-Fiですと、雨による湿度が影響することなんかもあります。

鉄に関してはおっしゃるように多くの方がイメージする通りかと思いますが、 意外とやってしまっているのが電子機器の横に置くことです。例えばテレビの裏にルーターを隠す形で設置する方は多いと思いますが、テレビって大きな鉄板みたいなもので、かなり電波妨害が発生しています。あとはプロバイダーからレンタルしているモデムと並べて置いているという方も非常に多いのではないでしょうか?

こんな状態(筆者宅。指摘された通りの置き方をしていた)

これも同様に鉄板と並べて置いているようなものなので、是非離した状態での設置を推奨します。あとは床暖房も大きな鉄板と捉えていただいて良いかと思います。この家も3階の床は床暖房になっているので、1階に置いたルーターの電波はかなり届きづらくなっています。

―― 電子機器は盲点でしたが、床暖房はさらに考えもしませんでした。

そして最後が電波干渉。2.4GHz帯はWi-Fiの他にBluetoothや電子レンジにも使われている帯域です。特に電子レンジはかなり露骨に電波干渉が起きます。自宅からリモートで大切な会議に参加しているときに、家の中の誰かが電子レンジを使うとその間通信が安定しなくなってしまう、なんてことも起きてしまうので気をつけていただければと思います。ちなみに5GHzは比較的干渉を受けにくいものですが、航空レーダーや気象レーダーの電波を検知すると1分間停止せねばならないというルールが定められています。

あとは家のどこに置くか、ということにも可能な範囲でこだわっていただきたい。Wi-Fiの電波はルーターを中心に球体状に飛ぶようになっています。つまり、壁際に置いたとすると、半分は家の外に逃げていってしまうので、その分はロスになってしまいます。例えば2階建ての家であれば、2階のできるだけ中心に置くとベストかもしれませんが、Wi-Fiの接続が多い部屋があるならばそこに合わせても良いかもしれません。

次ページ:Wi-Fiに関するストレスを解消してくれる次世代規格「Wi-Fi EasyMesh™」とは?

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