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片道300kmのドライブ中に偶然流れた大名曲。〈サザンオールスターズ/忘れられたBIG WAVE〉
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  • 2023.06.05
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片道300kmのドライブ中に偶然流れた大名曲。〈サザンオールスターズ/忘れられたBIG WAVE〉

Photo by Shutterstock

※本記事はウェブメディア「JAF Mate Online」にてFINDERS編集部が編集協力を行っている連載「わたしのドライブミュージック」から転載しております

音楽好きの著名人たちが、月代わりで自動車やドライブにまつわる音楽との思い出とともに至高のドライブミュージックを紹介します。

今月お届けする4曲の選曲を担当するのは「現代シティポップの女王」として数多(あまた)の名作をリリースしてきたシンガーソングライターの一十三十一(ひとみとい)さんです。

1曲目 サザンオールスターズ/忘れられたBIG WAVE『稲村ジェーン』

バンドメンバーとのロングドライブ、サザンの曲が景色を一変させた

コロナで軒並みキャンセルが続いたここ数年のライブ事情は少しずつ緩和され、車を利用して臨む「近いが遠いエリア」に多く呼ばれる機会をいただくという、それはそれでレアだった2022年。新幹線とも特急列車とも違う陸の旅は、目的地よりその過程にフォーカスしたロードムーヴィーさながら、気怠(けだる)い解放感と親密さに満ちたドラマがある。

狭い空間でバンドメンバーと長時間一緒に過ごす、まるで共犯者の如く運命を道連れにするみたいなスリリングな緊張感と、レイドバックしたゆるふわ感が混在し、限りなく自由度の高い車旅はあらゆる充実度も高い気がする。

11月に訪れた飛騨高山は片道300km超え、時間にして5時間ほどの上等なロングドライブ。ロマンティックな情緒に富む車旅において、凄まじくリアリスティックな早朝の大集合をまずは各々、怒られない範囲でクリアするところから始まり、一同は中央道から紅葉深まる秋の岐阜へ。

途中のサービスエリアに立ち寄る度、何かしら買い過ぎるメンバーたちを横目に熱いコーヒーを飲むのも良し、大きな湖を見下ろすハイウェイレストランで何かしら食するメンバーたちを横目に熱いコーヒーを飲むのも良し。結論、サービスエリアで飲むコーヒーほどベストマッチングなものはなし。

道すがらほぼデフォルトで繰り広げられる終わることのないマニアックな音楽談議は、ちょうど良い子守歌となっていつだって耳に心地良いけれど、車内で流れる音楽は映画のサントラのように、目の前のシーンを一瞬にしてコントロールするから油断できない。旅先の夜道、なぜかたまたまかかったサザンオールスターズの「忘れられたBIG WAVE」から続くアルバム『稲村ジェーン』に意表を突かれた私たちは思いがけなく青春の90’sにワープする。

たわいもない会話が映画の台詞(せりふ)のようにキラキラと、暗い山路の宙を舞う。此処は何処?

一十三十一

2002年デビュー。“媚薬系”とも評されるエアリーでコケティッシュなヴォーカルでアーバンなポップスを展開。国内外問わずラブコール多くコラボレーションも多数。劇伴制作や、小沢健二氏のコーラス、Negiccoのプロデュース、ネオ・ドゥーワップバンド「JINTANA & EMERALDS」ではリードヴォーカルを担当するなど、さまざまなフィールドで活躍中。
Y2K前夜のようなフレンチハウストラックとシティポップなメロディが邂逅した『Love Groovin’』DÉ DÉ MOUSE & 一十三十一を5/31に配信リリース!
hitomitoi fanclub “toi toi toi”


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