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1970年代の資生堂が生んだ「直球な商品アピールほぼゼロ広告」の展示会が開催中。味わい深い「余白」が楽しめる約150点が集結
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  • 2023.06.09
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1970年代の資生堂が生んだ「直球な商品アピールほぼゼロ広告」の展示会が開催中。味わい深い「余白」が楽しめる約150点が集結

文:FINDERS編集部

独特の世界観を形作りブランディングに一役買った「余白」「物語性」

資生堂の1970年代クリエイティブワークに焦点を当てた展覧会「あいだに あるもの -1970年代の資生堂雑誌広告から-」が7月30日まで銀座・資生堂ギャラリーで開催している。

本展は、広告コミュニケーションの主流がインターネットやSNSに移り変わり、クリエイティブにおいて効率性や直接的な伝わりやすさが重要視される現在とかけ離れた70年代の資生堂雑誌広告の表現に着目したもの。

それぞれの広告において商品の訴求はほとんどなく、ビジュアル・イメージとコピーとの間にあるギャップや余白から生じる物語性が特徴。加えてシリーズ広告にすることで、独特の世界観が浮かび上がり、資生堂のブランドイメージを強固なものに導いた。

会場には、70年代の資生堂を代表するリップ「シフォネット」ファンデーション「ナチュラルグロウ」、男性用化粧品「MG5」「ブラバス」、香水「モア」などの雑誌広告グラフィックおよび映像が約150点が展示され、作品を通してその魅力が紹介される。

1973年『シフォネット』C:小野田隆雄・Ph:十文字美信・AD:水野卓史・D:太田和彦・M:鹿間マリ

1975年『ブラバス』C:小野田隆雄・Ph:安達洋次郎・AD:水野卓史・D:鈴木成光・M:白石鈴雄

また、男子用化粧品「MG5」の広告に出演した俳優の団時朗氏が2023年3月に逝去したことを偲び、同氏出演のスペシャルムービーも展示される。

1971年『エムジー5』C:細川拓一郎・Ph:小川隆之・AD:犬山達四郎・D:中山禮吉・ST:淵崎絹枝・M:草刈正雄/団時朗

広告作品のほかに、アンビエントユニットUNKNOWN MEのメンバーでグラフィックデザイナー/アーティストの大澤悠大、プロデューサー/建築家H.Takahashi、ビジュアルアーティストの原田康による、資生堂のクリエイティブワークの映像と音のインスタレーションも展示される。

関連企画として、6月16日にはリップ「シフォネット」のシリーズ広告を手がけたグラフィックデザイナーの太田和彦氏、フォトグラファーの十文字美信氏によるトークイベント「異端の資生堂広告を語る −1973年のシフォネット雑誌広告から−」や香水「モア」のシリーズ広告をモチーフにした3種類のオリジナルカクテルが用意されている。


『あいだ に あるもの ー1970年代の資生堂雑誌広告からー』
期間:2023年6月6日(火)~7月30日(日)
会場:資生堂ギャラリー
料金:無料

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