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「海、ドライブ、犬」の至高シチュエーションには、甘美なサウンドをふんわりと〈The Supremes/Baby Love〉
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  • 2023.06.12
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「海、ドライブ、犬」の至高シチュエーションには、甘美なサウンドをふんわりと〈The Supremes/Baby Love〉

Photo by Shutterstock

※本記事はウェブメディア「JAF Mate Online」にてFINDERS編集部が編集協力を行っている連載「わたしのドライブミュージック」から転載しております

音楽好きの著名人たちが、月代わりで自動車やドライブにまつわる音楽との思い出とともに至高のドライブミュージックを紹介します。

今月お届けする4曲の選曲を担当するのは「現代シティポップの女王」として数多(あまた)の名作をリリースしてきたシンガーソングライターの一十三十一(ひとみとい)さんです。

1曲目「片道300kmのドライブ中に偶然流れた大名曲。〈サザンオールスターズ/忘れられたBIG WAVE〉」はこちら

2曲目 The Supremes/Baby Love『Where Did Our Love Go』

デビュー当時から続く海へのドライブ、潮騒に似合うスイートソウル

アーティストとしてデビューを果たし、札幌から東京へ越して来たばかりの頃、当時のマネージャーが「とっておきのメロウネスを見せてやる」とか得意気に、私をドライブに連れて行った。

第三京浜に始まり高速を小一時間ほど走らせて辿り着いたそのメロウネスは、御用邸に程近い、シックなムード漂う麗しのビーチだった。静かな浜は大きく緩やかな弧を描き、打ち寄せる波音はとめどなく柔らか。どこか神話的な、しっとりとした清らかさが立ち込めるそこは、まるで迷い込んだ桃源郷のよう。というか、ノイジーな都心からこれほど簡単にアクセスできる楽園の存在にショックしかなかったし、それまで訪れた他のどのビーチとも違った独特な趣があった。

黄昏(たそがれ)の海岸から張り出した小さな岬の芝生の緑に寝転んで、水平線にとける神々しいくらいのサンセットを眺めながら、この上ない“メロウネス”にうっとりと染められたのは紛れもない事実。この頃に初めて見た葉山の一色海岸は、人もまばらな、シーズンオフの静けさに包まれていた。

それまでも、またそれからも、思えばよく海へふとドライブにでかける人生だ。特に人けのない、名も知らない浜を打つ潮騒にただ耳を傾けるためだけに、車を走らせるのが良い。ここ最近じゃ新たに愛犬マチルダもその仲間入りを果たし、よって道中は時に乱れることも多々あるけれど、それにしても“海とドライブと犬”より平和的マッチングがこの世にあるだろうか。さらに、山下達郎さんのラジオが偶然にもやっていたらラッキー、そうじゃないなら音楽は50‘s-60‘s OldiesやDoo-wopのチルなMixをオープンカーでそのまま、海に漏れても害のない甘美なサウンドをふんわりかけ流すのがちょうど良い。

ダイアナ・ロスの歌声が超絶スイートなThe Supremes 「Baby Love」も不滅。いつ聴いても永遠に色褪せないclassicsには、海と似た浄化作用があるみたいだ。

一十三十一

2002年デビュー。“媚薬系”とも評されるエアリーでコケティッシュなヴォーカルでアーバンなポップスを展開。国内外問わずラブコール多くコラボレーションも多数。劇伴制作や、小沢健二氏のコーラス、Negiccoのプロデュース、ネオ・ドゥーワップバンド「JINTANA & EMERALDS」ではリードヴォーカルを担当するなど、さまざまなフィールドで活躍中。
Y2K前夜のようなフレンチハウストラックとシティポップなメロディが邂逅した『Love Groovin’』DÉ DÉ MOUSE & 一十三十一を5/31に配信リリース!
hitomitoi fanclub “toi toi toi”


1曲目「片道300kmのドライブ中に偶然流れた大名曲。〈サザンオールスターズ/忘れられたBIG WAVE〉」はこちら

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