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「日本の都市の人口推移」を表した動くグラフが興味深いと話題に。東京一極集中や戦争の影響が一目瞭然
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  • 2019.12.16
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「日本の都市の人口推移」を表した動くグラフが興味深いと話題に。東京一極集中や戦争の影響が一目瞭然

文:宮西瀬名

あなたの住む都市はどのような人の流れをたどってきたか、調べてみたことがあるだろうか。

都市の人口推移をグラフで表した動画が今、SNS上で注目を集めている。

都道府県ではなく都市の人口推移

その動画とは、1873年から2015年までの142年間、日本の各都市の人口推移を可視化したもの。都道府県ではなく都市の人口であり、「大阪」は「大阪市」のことで、「東京」は1943年まで存在していた都市である「東京市」で、それ以降は「東京23区」を指している。

東京大学に通う投稿者の同期が、総務省の長期時系列データなどを元に作成したものだという。

一時期大阪が東京を抜く

スタート地点となる1873年ではすでに東京が圧倒的1位。次いで、大阪、京都、名古屋が団子状態で並んでいる。ただ、1900年代に入った途端、大阪がものすごい勢いで人口を伸ばし、1925年頃になると東京を抜いて首位に躍り出た。1923年に関東大震災が起きたことが背景にあるようだ。

ただ、太平洋戦争中にすべての機能を東京に集中される国策が採られたことで、東京は1930年から1940年にかけて3倍近くも人口を伸ばし、今日に至るまで首位の座を守り続けている。

原爆投下で広島と長崎の人口が減少

1940年代に入り、これまでトップ10付近をキープしていた広島と長崎が1945年を境に急激な人口減を見せる。原子爆弾が投下されたためだ。それ以降はグラフに長崎は見られず、広島もトップ10の牙城を崩すことが難しくなった。

1950年から1960年は特に変化がなく順位が固定されつつあったが、1963年に5都市の対等合併で誕生した北九州が1965年に同県の福岡を抜いて7位に躍り出る。ただ、10年後には福岡に抜かれてしまい、今現在も着々と人口を伸ばす福岡に対して北九州は伸び悩みを見せている。

加速する東京一極集中

1980年では、常に2位につけていた大阪を横浜が抜き、千葉もトップ10の射程圏内につける。この時期から東京一極集中が加速したのだろう。1990年から2000年では特に順位変動はないが、関西勢である神戸と京都による熾烈な6位争いが勃発。抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げた。

1990年以降は東京都、神奈川県、千葉県の主要都市が人口を増やしているが、同じく「首都圏」の一角を担う埼玉県の都市は名前が見られない。ただ、2003年に大宮、浦和、与野の3都市が合併したさいたまが2000年から2005年の間にトップ10に割って入る。その後は大きな順位変動もなく2015年に至った。

震災や戦争、合併などさまざまな要因で人口は変動する。「その時代で何が起きたのか?」を学びながらこのグラフを見ると日本の歴史をより深く学べるだろう。


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