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- 2020.04.17
過去20年「変われない日本」だったからこそ、「アフターコロナ」の希望がある(前編)【連載】あたらしい意識高い系をはじめよう(0)
「短所是正でなく長所伸展」を徹底してやることで生まれる「ほんとうの多様性」
―― そして倉本さんはマッキンゼーを退職されたわけですが、その後は何をされていたのでしょうか?
倉本:結果としてやりはじめたのが、「ザ・古き良き日本企業の経営ってこうだろう的価値観」でユニークな成果を上げている、船井総合研究所という日本のコンサルティング会社の内定を取りつつ、「さらにその外の領域も実体験として知らなきゃいけない」と思って、入社する前のタイミングでブラック企業やカルト宗教団体、ホストクラブ、肉体労働現場その他への潜入…というムチャクチャなことをやっていました。
当時20代なかばの若気の至りでやってたことなんで、最初どういう考えではじめたのかは忘れてしまいましたが、若いなりの必死さみたいなのがあって「来るべき“2つの世界の分断”をシナジーするビジョンを打ち立てるには、ルポライターとか社会的支援活動とかいった“観察・サポート”じゃなくてほんとうに自分が“中に入って一員として扱われて体験する”レベルで、社会のいろんな立場からの視点を経験しておかなくてはいけないという強烈な直感的切実さがあったんですよね。
その後、船井総研で数年間マッキンゼーとは全然違うスタイルのコンサルのあり方を学んだ上で、今は個人でコンサルティング業をやってます。
船井は何百人も個人営業のコンサルが集まって多種多様なことをやっている感じの面白い会社なんですが、彼らの基本方針は、「長所伸展」というスローガンで、「どんな個人、会社にも長所と短所があってそれは表裏一体だから、短所だけを直そうと思ったら長所もダメになっちゃう。だから長所を伸ばしていけば、短所は気にならなくなるものだ」みたいな感じなんです。まあ船井のコンサルタントが全員、実際にそれを実現できているかはともかくとして、私自身も非常に影響を受けた考え方だと思っています。
「グローバルに統一的な基準でローカルな存在を裁きまくる」ようなシステムだと、多様性を大事にしようなんてお題目を唱えても、結局みんな「世界統一のグローバルシステムにみんなを無理して合わさせる」ことになりますよね。
一方でちゃんと「個別の存在の短所に見えるものの背後にある長所」を活かすようにテーラーメイドにやっていって、それがグローバルな経済的結びつきとうまくシナジーするようにできれば、「ほんの一部の、今活躍しやすそうな人」だけじゃなくて、ありとあらゆる人たちの「ほんとうの個別性」「ほんとうの多様性」が活きる社会にできるはずですよね。
私がずっと取り組んでいるのは、そういう経営のあり方、モノの見方…で社会を運営していくやり方について考えたり実践したり発信したりしていくことなんです。それは20年前には「何言ってるの?」って感じだったですが、トランプVS反トランプとか、米中冷戦とか、そういう時代背景の中で、やっと世の中が追いついてきてくれて、聞く耳を持ってくれはじめたかなという感じがしています。