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テクノロジーに「自由の制限」を求める人、テクノロジーを「自由の拡張」につなげる人【連載】高須正和の「テクノロジーから見える社会の変化」(3)
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  • 2020.05.13
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テクノロジーに「自由の制限」を求める人、テクノロジーを「自由の拡張」につなげる人【連載】高須正和の「テクノロジーから見える社会の変化」(3)

社会インフラ整備にまで関わるようになった日本のシビックテック

日本はあまり強制力を伴わない要請による自粛を行っていますが、例外的にピークを抜けつつあります。「自粛警察」と呼ばれるヒステリックな振る舞いがSNSを騒がせますが、多くの人々は貯金を取り崩しながら耐えています。

その中で、日本のシビックテック、市民のテクノロジーによる社会参加が目立っています。『「うちの国、いきなり覚醒した!?」と称賛の声多数。官民連携の新型コロナ関連支援まとめサイト「VS COVID-19 #民間支援情報ナビ」が公開』などでFINDERSでも触れられているように、感染者数の増え方、医療機関のベッドの埋まり具合、近隣でテイクアウトに対応し始めた飲食店、オンラインで学べる教育コンテンツなど、現在の新型コロナウィルス感染拡大下の社会で必要な情報が、どんどんオープンソース・ソフトウェアを基盤にした、自発的なコミュニティで開発され、広まっています。

県別に入院患者数とベッドの空き状況を可視化するダッシュボード。Code for Sabaeの福野泰介氏が中心になって開発したオープンソースプロジェクト。

社会インフラとも言うべきそうした情報は、中国ではアリババ、アメリカでは大手メディアが伝えていますが、オープンソースの技術のもと、民間・個人のコミュニティが活動を担っている日本の状況は例外的で素晴らしいものです。各省庁も地方自治体も、シビックテックを助けるオープンデータ公開や手続きのオンライン化などに、さまざまなしがらみがある中で目を向け始めています。

新型コロナ関連で活躍しているシビックテック団体の一つにCode for Japanがありますが、今のコアメンバーは2011年の東日本大震災に「Sinsai.info」というサービスを作るところから活動を続けていて、僕も当時一緒にハッカソンをやったことがあります。その頃よりも、現在の方が活動への注目ははるかに大きくなり、誰でも参加できるCode for Japanのチャットには、現在2000人近い協力者が集まっています。何人かは僕の記事を読んで入ってくれたようなので、ありがたい限りです。

次ページ:オープンソース活動は「個人と社会の関係性」を変える可能性を秘めている

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