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中国で相互監視が加速。「誤った意見」を拡散している人を通報するアプリがリリース。中国共産党批判など
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  • 2021.05.07
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中国で相互監視が加速。「誤った意見」を拡散している人を通報するアプリがリリース。中国共産党批判など

Photo by Shutterstock

文:ヤジマミユキ 

顔が見えない分、過激になりがちなネット上の発言。近年、日本でもSNSでのトラブルから痛ましい事件が起こるなど、ネット上でのモラルが問われている。

そんな中、中国で驚きのアプリがリリースされたと注目を集めている。

歴史的ニヒリストを取り締まる

中国サイバースペース管理局(CAC)は4月9日、ネット上で支配的な中国共産党を批判したり、中国の歴史に異議を唱えたりする「誤った意見」を拡散する人を通報するアプリとホットラインを立ち上げたとの声明を発表した。歴史的ニヒリスト(中国共産党の過去の出来事の説明について、国民の疑念や懐疑心を表す言葉)を取り締まることが目的だという。

CACによると「このところ悪巧みをしている一部のものが、歴史的ニヒリスティックなデマをネット上に流し、国や中国共産党、軍の歴史を、悪意を持って歪曲、誹謗中傷、否定して人々の思考を混乱させようとしている」と明かし、そのため「多くのユーザーが積極的に社会を監督する役割を果たし、有害な情報を積極的に報告することを望んでいる」と述べた。

通報の対象は「中国共産党の歴史を歪曲したり、中国共産党の指導者や政策を攻撃したり、国の英雄を中傷したり、ネット上で先進的な社会主義文化の素晴らしさを否定したりすること」が含まれるという。

今回の声明では、報告されて有罪となった人々にどういった罰が与えられるのかは明記されていない。しかし過去に、中国共産党のリーダーシップ、政策、過去の出来事の説明を批判したり疑問視したりするコンテンツをネット上に投稿した人の多くは、懲役刑を含む法的罰則を受けている。今年初めの法改正では、中国の国民的英雄などを侮辱した者には、最大3年の懲役刑が課されると規定された。

次ページ:中国共産党創立100周年を前にリリース

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