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オリンピッグだけじゃない!東京五輪を100倍楽しく見る怒涛の炎上史【連載】中川淳一郎の令和ネット漂流記(24)
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  • 2021.06.03
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オリンピッグだけじゃない!東京五輪を100倍楽しく見る怒涛の炎上史【連載】中川淳一郎の令和ネット漂流記(24)

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中川淳一郎

ウェブ編集者、PRプランナー

1997年に博報堂に入社し、CC局(コーポレートコミュニケーション局=現PR戦略局)に配属され企業のPR業務を担当。2001年に退社した後、無職、フリーライターや『TV Bros.』のフリー編集者、企業のPR業務下請け業などを経てウェブ編集者に。『NEWSポストセブン』などをはじめ、さまざまなネットニュースサイトの編集に携わる。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『ネットのバカ』(新潮新書)など。

秋元康氏の組織委就任で噴出した開会式AKB起用説

2020~2021年、ネットでは東京五輪の開催是非について反対派が憤怒しまくる状態が続いているが、平成の五輪をめぐるネット環境はまったく別の風景だった。罵詈雑言や激怒はあったものの、ベースは「スポーツ」にあり、今のように「政治」がイシューではなかったのだ。

そして、思えばコロナ以前、東京五輪に対する最大のネット上の懸念は、初期は2014年のこと。AKBグループのプロデューサー・秋元康氏が組織委員会に就任したことである。当時、2ちゃんねるやツイッターでは、「秋元氏が当時大人気だったAKBグループを開会式に起用する」という説がまことしやかに囁かれていた。というか、既成事実のようになっていた。

その時の声としては「あんな学芸会・幼稚園のお遊戯みたいなものを世界に見せたくない」「クオリティの低さを世界に発信したくない」に加え、「秋元氏と電通がこれで大儲けする」といった憶測まで出ていた。

この件については『5時に夢中!』(TOKYO MX)でAKBグループが五輪に向けて選抜チームができる、という話題を紹介。これに対してマツコ・デラックスが「開会式と閉会式に出ないんだったら何やってくれてもいいけど、開会式と閉会式だけは恥ずかしくない物にして」と発言する事態に至った。マツコのこの発言を受け、こんな声が2ちゃんねるには書き込まれた。

「よく言ってくれた ほんと」

「マツコは常識人だった」

「AKBジャニーズEXILEじゃ日本の恥だよなぁ…タレントは一切出さず、太鼓と忍者と花火で盛り上がれるだろ あとはなんだろ、雅楽とか相撲とかか?」

思えば呑気な話題で盛り上がれた時代だったのである。さすがに私もAKBが開会式に出てきてほぼ日本限定のヒット曲(しかも握手券で水増しされた)メドレーなんてやらかしたら恥ずかしくてその後は海外の人のツイッターの実況を見たくない。しかも、日本の芸能界はなぜか「人数が多いとより豪華になる」という感覚があり、AKB、HKT、SKE、NMB、乃木坂、日向坂、NGT、欅坂など数百人を総登場させるといった演出なんてことになったら布団の中に潜りたくなる。そこから考えると、2012年のロンドン五輪で歌を披露したのはポール・マッカートニーで曲は『Hey Jude』である。こんなのに勝てるワケがねぇ~!

だが、総合演出は当初野村萬斎が担当することになり「和のテイストになるのか」と安心された。結果的に野村を統括とする7人のチームは解散。元々パラリンピックを統括する予定だった電通出身の佐々木宏氏が五輪も担当することに。最近になって「渡辺直美に豚の恰好をさせる『オリンピッグ』」というLINEでのやり取りにおける佐々木氏の書き込みが問題視され、同氏は辞任した。

ここしばらく秋元氏の名前は取沙汰されていないが、同氏は理事として組織委員会に所属している。果たしてこれは影響するか? もしもAKBグループが登場した場合は、2014年~2015年頃のネットの予想は当たったということになる。

次ページ:ダサ過ぎる舛添と呑気過ぎる小池

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