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喉頭がんの手術で声を失った『トップガン』俳優、AI技術で元の声を取り戻す
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  • 2021.08.31
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喉頭がんの手術で声を失った『トップガン』俳優、AI技術で元の声を取り戻す

Photo by Shutterstock

文:角谷剛

AI技術によって生成された声で話すヴァル・キルマー

1986年公開の映画『トップガン』のアイスマン役でブレイクした、俳優のヴァル・キルマー(61歳)。1991年公開の『ドアーズ』のジム・モリソン役では、その歌声までも完璧に演じ、周囲を驚かせた。そんなキルマーは2017年、喉頭がんと診断されたと公表した。気管を切開する手術を受けたキルマーは、以前のような発声が困難になった。

ところがキルマーは自らの声を決して諦めなかった。イギリスのソフトウェア会社ソナティック社と協力し、AI技術によって元の声を生成できるようなったのだ。

キルマーは今月9日、同社のYouTubeに公開された動画で「私が知っていた私自身の声は失われました。私の周囲の人たちは私が何を話しているかを理解することが困難になりました。それでも、私は自分自身が以前とまったく同じ人間であると感じています」と振り返り、「今でも私の魂は創作への意欲に満ちていますし、その魂はアイデアとストーリーを力強く夢みています。そして今、私は再び自分を表現することができるようになりました。私のアイデアを皆に伝えて、私の一部をまた見せることができるようになったのです。それは失われていたわけではありませんでした。ただ隠れていたのです」と語った。

伝記ドキュメンタリーを経て、AI音声を開発

先日、キルマーの半生を描いたドキュメンタリー映画『Val』が、アマゾン・プライムで公開された(日本公開未定)。この作品の共同プロデューサーにはキルマーの息子と娘が名を連ね、キルマーの生い立ちから、名門芸術大学ジュリアードで演劇を学んだ青年時代、映画界のスターとしての活躍、そして喉頭がんとの闘いを克明に追っている。

複数の関係者が『The Wrap』に語ったところによると、『Val』でキルマーのAI音声は使用されていないという。この作品が完成した後に、キルマーのチームとアマゾン、ソナティック社が手を組み、キルマーの声を取り戻すプロジェクトが立ち上がったとのこと。

キルマーは、ソナティック社に自身の声のアーカイブを提供するなど、AI音声の開発に深く関与。今後、プライベートでも俳優としてのキャリアでも、AI音声によって自由に表現できるようになるようだ。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で再三延期されてきたトップガンの続編『トップガン マーヴェリック』の公開が2021年11月に迫っている。前作公開から35年、海軍提督にまで登りつめたキルマー演ずるアイスマンも登場する予定だ。同作でキルマーは話すのか、注目したい。


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