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- BUSINESS
- 2020.05.18
コロナ後の経済再開の最善策は日本の製造現場が知っている【連載】あたらしい意識高い系をはじめよう(4)
5:「助け合える国」日本へ!
「コロナ時代を乗りこなす」ことは、欧米社会では途絶してしまった「学問知と現場知のコラボレーション」が常に必要とされ、立場を超えて協力しあう必要性を日本社会に「常に思い出させ続けてくれる」体験となるでしょう。
結果として、今まで果てしなくバラバラに分解して自分個人のことだけを考えるようになっていっていた状況を常に反省させられ続ける「矯正ギブス」のようなメカニズムを内包することになります。
つまり、コロナ対策をきっかけに、「助け合える国・日本」へ脱却することが、私たちにはできるはずです。
最初は「余計な配慮をしなくちゃいけなくて面倒臭い」だったものが、「みんなで協力してコロナを乗りこなすのって楽しくない?」に変えていきたいものです。
トヨタの豊田章男社長が、最近の決算会見で、なかなか感動的なスピーチをしていました。特に重要だと思う部分を引用したいと思います(以下、強調と下線は筆者によるもの)。
これまで日本がマザー工場となってトヨタのグローバル生産を支えてまいりました。国内生産体制はグローバルトヨタの基盤であるとも言えます。しかしこれは成り行きであるものでも、当たり前にあるものでもありません。超円高をはじめ、これまでどんなに経営環境が厳しくなっても、日本にはものづくりが必要でありグローバル生産を牽引するために競争力を磨く現場が必要だ、という信念のもと、まさに石にかじりついて守り抜いてきたものでございます。
トヨタだけを守れば良いのではなく、そこに連なる膨大なサプライチェーンとそこで働く人たちの雇用を守り、自動車産業の要素技術とそれを支える技能を持った人材を守り抜くことでもあったと考えております。(中略)
雇用を犠牲にして、国内でのモノづくりを犠牲にして、いろいろなことをやめることによって、個社の業績を回復させる。それが批判されるのではなく、むしろ評価されることが往々にしてあるような気がしてなりません。
それは違うと、私は思います。
企業規模の大小に関係なく、どんなに苦しい時でも、いや、苦しい時こそ、歯を食いしばって、技術と技能を有した人財を守り抜いてきた企業が日本にはたくさんあります。
そういう企業を応援できる社会が、今こそ、必要だと思います。
色々と大変なことが続きますが、自分たちの根源的なオリジナリティに目覚めることで、欧米文明の独善性が黄昏を迎える人類社会の行き止まりに対し新しい希望を提示していきましょう。
そうすれば、個々人が果てしなく自分のことだけを考えるように仕向けられていた過去20年間に決別し、コロナ禍を通じて「助け合える国・日本」へ脱皮できるはずです。
私たちならできますよ。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう。連載は不定期なので、更新情報は私のツイッターをフォローいただければと思います。
この連載の趣旨に興味を持たれた方は、コロナ以前に書いた本ではありますが、単なる極論同士の罵り合いに陥らず、「みんなで豊かになる」という大目標に向かって適切な社会運営・経済運営を行っていくにはどういうことを考える必要があるのか?という視点から書いた、「みんなで豊かになる社会はどうすれば実現するのか?」をお読みいただければと思います(Kindleアンリミテッド登録者は無料で読めます)。「経営コンサルタント」的な視点と、「思想家」的な大きな捉え返しを往復することで、無内容な「日本ダメ」VS「日本スゴイ」論的な罵り合いを超えるあたらしい視点を提示する本となっています。
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