- BUSINESS
- 2020.04.17
左翼と右翼、フェミと反フェミ、時代遅れとイノベーション…「ほんのちょっとの工夫」で分断の時代は超えられるはず(後編)【連載】あたらしい意識高い系をはじめよう(0)
日本のスマホゲーム運営から学べる「2つの世界」の間の連携
―― 製造業での協業のあり方はよくわかりましたが、他の業界でも同じようなことは可能なのでしょうか?
倉本:確かに過去20年、そういう「日本ならではの良さがちゃんと経済的な価値として発揮されてる」世界をあまり体験せずに来た人の方が多くなってきているので、そういう人でもイメージしやすいかなと思う例で言うと、日本のスマホゲームの運営さんとプレイヤーの関係がちょっと似てるなと思うんですよね。
なんか、「環境の変化」を運営さんがルールの変更とか新しい要素の追加とかで発表すると、それを結構インテリなプレイヤーがちゃんと解析したあと、攻略サイトとか動画サイトとかでプレイヤー全体に伝えていったりするじゃないですか。
凄いマニアックなダメージ計算式の細部をちゃんと解析してまとめる人がいたりする。一方でその内容がある程度薄まりつつもリレーされていって、いずれ「本とか読まない、動画しか観ない」層にまでちゃんと浸透する。で、「要するにこの数字ができるだけ減るような方法考えればいいんだろ?任せときなよ」的な単純な発想とヤンキー的なガッツで工夫に参加する人たちも、その輪から排除されない大事な戦力になったりする。
ちゃんと「インテリの世界と現場レベルの世界」が地続きに連動するように持っていければ、スマホゲームにハマる人とか、あとパチプロとかスロプロみたいな人たちにも似た印象を持つんですが、彼らが独特の集中力を使って現場レベルの課題をちゃんと精度高くブラッシュアップしてくれる連携が生まれるんですね。
そういう非常に日本的な連動性を経済的価値として活かしていくための、あたらしい取り組みは、ビジネス的な世界ではすでに見えてきているんですよ。「環境の変化」をインテリがちゃんと分析して、解決策の方向性を示したら、それは動画メディアみたいなのでちゃんと末端まで伝わって、「よし、じゃあこれがこうなるように工夫すりゃいいんだな、やるよ」的なトライが無数に行われる。
「インテリ」と「それ以外」が徹底的に分断されている社会では実現できない可能性が、みなさんの「普段接する体験」の中ではたとえばそういうスマホゲームの運営の中にはあるんですよね。