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左翼と右翼、フェミと反フェミ、時代遅れとイノベーション…「ほんのちょっとの工夫」で分断の時代は超えられるはず(後編)【連載】あたらしい意識高い系をはじめよう(0)
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  • 2020.04.17
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左翼と右翼、フェミと反フェミ、時代遅れとイノベーション…「ほんのちょっとの工夫」で分断の時代は超えられるはず(後編)【連載】あたらしい意識高い系をはじめよう(0)

罵り合いより「ほんのちょっとの工夫」の追加を

―― 「ミクロには妥協しない、マクロには対話する」という方向性はその通りだと思います。

倉本:経営的な問題にしろ、社会問題にしろ、プライベートで出会う価値観の違う他人とのやりとりにしろ、「相手側の事情も考える」ってことは、過去20年くらいくりかえされてきた、日本人の悪癖であるところの「足して2で割った妥協策」になるってことじゃないんですよ。

さっきの「スタンプカードをアプリ化する話」みたいな感じで、ちゃんと「相手側がそれを主張している理由」まで深堀りして、「より深い理屈」で解決すれば、ありとあらゆることを日本的な情実でグダグダにしてしまって知的な個人主義者が発狂するみたいなことにならずに済むんですよね。

「相手の事情なんて考えてたらスピードが遅くなる」って思うかもしれないけど、両方が譲らずに押し合いへし合いになる方がよっぽど時間かかりますよ。

経済も経営も社会問題も、さらにはプライベートで出会ういろんな価値観の違う他人とのいざこざも、ここまでに話した例でいえば「スタンプカードとアプリのポイントの交換比率をちゃんと考える(私のクライアントの会社)」とか、「安いセンサーを取り付ければ昭和の時代の機械でも使えるIoTシステムにする(iSTC)」とか、「人工知能で解決する部分を厳選することで現場的共同体の繋がりを破壊しないようにする(キャディ株式会社)」とかいった、「考えてみればあたりまえの、ほんのちょっとのこと」を「改革を迫る側」が配慮するだけで、今まで対立してたのがバカバカしくなるような感じで前に進ませられるものだと私は感じています。

こういうのは、アカデミックに知的な個人主義者だけが全知全能の役割を与えられている欧米諸国ではなかなか実現できない問題だし、過去20年「わからずやさん」たちに邪魔されてグズグズと混乱の中でもがいてきた日本ならではの、あたらしいイノベーション、あたらしい社会運営ビジョンとして、提示していけるものがあるはずだと思っています。

「あたらしい意識高い系をはじめよう」の連載では、当分は新型コロナ問題をテーマにしつつ、いずれは経営・社会問題・歴史認識問題とか外交問題とか、いろいろな課題を扱いながら、この「あたらしい意識高い系」の考え方を提示していければと思っています。

週イチ程度の連載ができればいいなと思っていますが、とりあえずここまでの話で興味を持っていただいた方には、今年出した「みんなで豊かになる社会はどうすれば実現するのか?」を手にとっていただければと思っています。「みんなで豊かになる」という人類永遠の、しかし叶わずにいる目標に近づいていくためにはどういう考え方が必要なのか、について、「経営コンサル」的な実地の話と、「思想家」的な広い視野からの捉え直しを往復しながら浮かび上がらせていく内容になっています。


連載第1回「怒ってもいいし政権批判もいいが、陰謀論はやめよう」はこちら

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